GWに、宮崎県石巻市へボランティア活動に行った時に、被災者から聞いた話です。

前回のブログより。

排水溝(側溝)の泥のかき出し作業をしていた私たちは、トイレ休憩をした場所で押切もえちゃんに会うことができました。

そこで英気を養って、すぐにボランティアのための活動場所へ戻ると、私たちが泥のかき出しをしていた側溝脇に住まわれる家の方が出てきてお話をしていました。

話し相手は、側溝の泥をかき出しているボランティアの人たちです。

数名が手を止めて、話を聞いていました。

たぶん、はじめは側溝の泥かき出しのお礼に出てこられたのだと思います。

それが、地震の時の話になっていったようです。

私たちの班まであとわずかな距離でしたが、立ち止まってその話に耳を傾けました。

その年配の女性は、地震当時の話をしていて、津波の話が口から出ると、止まりませんでした。

ボランティアの仕事には、被災地にいる被災者の話を聞くことも大切な役割の一つとなっています。

そのことは分かってはいましたが、津波の話をしている女性にとって、話をすことは気持ちをなだめることになっているのだという、気が伝わってくるのが分かりました。

なので、これは仕事とかいうのではなく、その人を救いたいという人の本能みたいなもので聞いていました。


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(↑3月11日の地震後、渦を巻く茨城県大洗港付近の海_茨城県広報紙より)


女性の話では、地震の後、津波による避難警報が町中で流れていたそうです。

ですが、周りで避難するような人はそれほどいなくて、その女性と家族も、実際に避難しなかったそうです。

その日も、海岸近くにある病院へ行くことになっていたそうなのですが(誰かのお見舞いとか言われていたかもしれません)、その日に限ってなぜか体調がよろしくなく、変な感じがして病院へ行かなかったそうです。

もし、この日、病院へ行っていたら私は津波にのまれていた。

神様が助けてくれたのだと思う、そう何度も話していました。

地震の後も家の中にいて、暫くすると、「さわさわさわ・・・・・・・、さわさわさわ・・・・・・。」と、小さな音が聞こえてきたそうです。

何だろうと思い、玄関まで出てみると、数軒先の家(その女性の家から見ると海側の家にあたる)の前まで、海水が流れてきているのが見えたそうです。

海水がここまで来ている(津波だ)!

そう思い、家族へ知らせようと玄関から家の中に目を向けると、既に畳の上まで海水が来ていたそうです。

横からも、海水が入ってきていたのです。

その女性と家族は、2階へ避難をして一命を取り留めました。

実際に、1階の部分(私の身長ほどは海水に浸かってしまっている)の外壁には、その生々しい海水が通ったであろう跡が残っていました。

「怖かったですね、でも、本当に無事でよかった。」

そう言うと、女性は、

「そうなの、本当によかった。」

そう、言いました。

何度も、無事でよかったと、繰り返していました。

その女性には、仕事をされているお孫さんがいて、その日も海岸近くにある職場で働いていました。

お孫さんの家族も皆、その子は津波にのまれて死んだものと思っていたそうです。

2日後(5日後?のどちらか)、そのお孫さんは自分の家まで歩いて帰ってきたそうです。

家族全員が、その子は死んだものと思っていたので、はじめは誰だか分からなかったそうです。

まさか…

その、まさかだったんです!

お孫さんは、クレーン車(自分が運転していた?)の、てっぺんにつかまって、津波に流されず、無事だったということでした。

そんな恐ろしい体験を、この人たちはしてきて、そして今はこうして元気な笑顔を私たちに見せてくれている。

本当に、無事でよかった…


ある家では、浸水して使えなくなった家具や生活用品を庭一面に放置されていたのですが、その中に、猫のゲージ、猫ベッドなど、猫を飼っている!というものが紛れていました。

その家の塀は流されてしまったのか、無いので、庭の様子が見えるわけです。

私は、すぐ脇の側溝を掃除していたので、気になっていました。

すると、家の中から私と同年代ほどの女性が1人出てきて、片付けをしていて腰を痛めてしまったので、できればゴミを集積場まで運んで欲しい、そう言ってきました。

私たちは、「はい、任せてください!」の勢いで、側溝の泥のかき出しの手を止めて、2班くらいでゴミの運び出しをしました。

ゴミ集積場と言っても、至る所に仮のゴミ集積場があるので、女性の家から10歩くらいの所なんです。

運び出して欲しいというゴミの中には、その庭にある猫のベッドやゲージなどは含まれておらず、とにかく依頼された物を運びました。

そうでした、ゴミではないのです。

それは、水に浸かって汚れてはいるけれど、地震前まで使っていたもので、ゴミとして出したものではないのです。

だから、ゴミとして扱ってはいけないと、大切な物として扱うようにと、添乗員さんからそう言われていました。

その女性は、運び出す私たちに「腰を痛めないでね!」とか、「ありがとう!」など、全員にひと言声を必ず掛けてくれました。

そうして運び終えると、女性は笑顔で何度もお礼を言ってくれました。

私たちも、嬉しかったです。

その女性宅の脇を通って、次の側溝へ移動をしている時に、その女性は家の中から猫ちゃんを抱いて私たちを見送ってくれました。

猫ちゃん、無事でした。 ヨカッタ~

みんな思わず、「可愛いー!!」と、汚れた手が出そうになりました。

女性は、とても嬉しそうでした。

猫ちゃんと見送りをしてくれた女性は、今居る家族全員で見送ってくれたと同じです。

それも、とても嬉しかった。


移動した先は、更に海岸近くになるため、側溝の深さが深くなっています。

その中の水分を含んだ泥をかき出す作業は、男の人でもだいぶ力がいるようで、可哀想なほど激務でした。

それでも、みんな頑張っていました。本当にエライ!!

私も、声掛けをしながら、かき出してくれた泥を土嚢袋に受けて、土嚢の口を閉じて一輪車へ積む作業に大汗でした。

もうすぐ、終了の時間です。

どうにかギリギリ、その一帯の側溝を綺麗にすることができました。

最後の作業をした側溝の場所で一輪車を押していたのは、近所に住む若い女性でした。

私はずっと、ボランティアの人だと思っていました。

自分たちがしたくても出来なかったこと、首を長くして待っていたのだと思います。

その若い女性の家からは、手が震えた老人が出てきました。

その老人は、片手にホースを持ち、汚れた私たちのスコップなどに水を流して綺麗にしてくれていました。

体が不自由なのに、それでもお礼に来てくれることさえ、私たちは嬉しかった。

その場を離れる時、東京から来て、地震後からずっとこの地域のボランティアをまとめているNPOの方が言われていました。

石巻市は、明日くらいから天候が崩れるようです。

そうすると、ここの人たちは喜ぶことでしょう。

今までは雨が降ると、側溝から汚水があふれていました。

明日からは、あふれないから大喜びだそうです。

そうか、そうなんだ。

私は、下水が使えないから困っていると思っていました。

失って気付くことって、本当に多いです。

普段の当たり前にしてきた生活が、どれだけ便利で有り難かったことか、被災地の人もそう言っていました。

私も数日のことでしたが、地震後のライフラインが寸断された不便さの経験から、水の有難み、電気の有難み、温かい食事の美味しさを、体と心で同じように味わっていました。

まだまだ先は長く、生活は楽ではないでしょうが、喜んもらえたことが、本当にヨカッタ!そのひと言です。

使用した道具の洗浄、長靴の洗浄、着替えを終えて、「災害ボランティアバス」は水戸へ向かいます。

昨日の災害ボランティアバスは、GWの渋滞もあり日帰りの計画だったはずが、帰りは翌日になっていたそうです。


帰りの東北道国見SA上り線で、ちょっと長めの休憩がありました。

だいたいそこで夕食を買うパターンだそうです。

お土産は買わないと思っていた私ですが、そこでは仙台の笹カマが売られていました。

売り子さんの話では、笹カマ工場は必死の思いで工場の復旧を果たしたものの、笹カマを売るお店が復旧されておらず、ここで売っているそうです。

これは、買うしかないじゃないですかーーーーーーーーーーーーー

遊びに行くわけじゃないから、お土産は当然買うわけないし、現金は3千円くらいでいいと思っていました。

でも、旦那さんが万が一ケガをした時に多少の現金は持っていた方がよいというので、1万円位を持って行きました。

ズバリ、正解でした。

そうよ、被災地にお金を落としていくのも、募金じゃないけれど、支援に繋がるわ~~!!

そう思ったら、急に使いが激しくなりました。

仙台名物の牛串は買うし、お土産もデザートまで買ってるし、珈琲だってそんな苦いの飲める口じゃないのに、贅沢珈琲を買ってしまうし、既に満腹状態です。

いいのか、これで? スッカラカンだぞ~

帰り、ほとんど寝ることも無く(周りは寝ている人が多かったけれど)、色々と考え事をしながらバスに揺られていました。

福島県いわき市だったと思います、窓の外を見ると、辺りが真っ暗だったのがとても切なく悲しかった。

寒い夜の日も、冷たい雨の日も、お腹を空かせて寂しい思いをしている動物たちがいること、また涙がこぼれそうになりました。

帰宅。

鏡の前で、髪の毛をかき上げると、地肌に比べかなり日焼けした私の顔、この歳で日焼けはマズイっしょ!

そして、翌日からその次の日まで、背中と手の平の筋肉痛に私は泣くのでした。

おしまい。


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