もう既に皆さんは、ご存知かと思います。


「福島の英雄たち」に、スペインの皇太子賞が授与されることになりました。


このことは、日本にとって大変名誉なことです。


そして、その背景には、世界の人たちが「フクシマ」を見守っている、まさに事故収束への祈りが込められたものだと思います。


しかし、この授賞に「おめでとう」の言葉は、日本の中から出ることはありません。


それでも、命がけで作業をする人たちがいます。



危険を承知で、原発の暴走を目の前にしながら、仕事に追われる毎日を過ごしている人たちがいます。


その献身的な働きに、私は、「おめでとう」の代わりに、「ありがとう」を捧げます。



心から・・・


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受賞の内容は、以下の通りです。


スペインのアストゥリアス皇太子財団は、アストゥリアス皇太子賞の平和部門賞を、東日本大震災による福島第1原発事故で初期対応にあたった「フクシマの英雄たち」に授賞すると発表した。


授賞対象となった「フクシマの英雄たち」というのは、


①現場対応にあたった東京電力(TEPCO)従業員や関連の作業員


②原子炉の冷却作業で放水にあたった消防隊員


③原子炉上空からのヘリコプターによる海水散布や、高濃度の放射能汚染で立入禁止区域に指定された地域からの住民避難に従事した陸上自衛隊の隊員


とし、


授賞の理由は、「彼らは自らを犠牲として、津波による核災害がその壊滅的影響を何倍にも拡大させることを阻止した。自らの身にも深刻な影響がもたらされる恐れも顧みず、彼らは決断を下し、人としての最も崇高な価値を示した」と説明しています。


そして、「彼らのなしたことは、日本社会に根付く義務感、逆境での品位、謙虚さ、寛容、勇気のたまものだ」と称揚しました。



その初期対応の最中、東京電力の社長が福島原発から全作業員の撤退を実行していたら、原発の周辺とか、東北とかの問題ではなくて、この日本がどうなっていたか想像すらできません。



福島発電所の吉田所長が「まだ頑張れる」と主張したこと、菅元首相が東電本店に乗り込み「撤退などあり得ない」と幹部らに迫ったこと、両者共に命がけであったと思います。


その覚悟が見えなかったのが、東京電力の社長を含めた幹部たちだったのではないでしょうか。


そのことだけは、あの時から変わらず、腹立たしく思っています。




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今回の名誉ある受賞は、福島の英雄たちに世界中の人たちが心を動かされたことは言うまでもありません。


その勇姿を見つめていた世界中の子どもたちが、将来人の為に尽くせる仕事をしたいと思った影響力も含み、この授与には大きな意味が持たされているのではないでしょうか。


名誉ある受賞とは別に、福島原発の事故で、放射能漏れから尾を引く風評被害は止まりません。


放射能や、被ばくを知らないから怖い。


放射能や、被ばくを知っているから怖い。


両方言えることだと思います。


現場で働く人も、同じです。怖いはずなんです。


それでも、最悪の事態を食い止めようと懸命に作業にあたっている英雄たちに感謝するとともに、この世界中から祈りの輪が届きますよう、心からエールを送ります。



余談ですが、防衛大学の生みの親である吉田茂が、昭和32年第1期学生に送った卒業式の訓示をご紹介します。


君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく、自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。

しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。

言葉を換えれば、君達が日陰者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。

一生御苦労なことだと思うが、 国家のために忍び堪え頑張ってもらいたい。 自衛隊の将来は君達の双肩にかかっている。 しっかり頼むよ。

   

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